薬剤師の備忘録

仕事で気になった事綴ります

貧血の治療はいつまですればいいですか?

鉄欠乏性貧血

 

厳密には循環赤血球量の減少した状態と定義されますが、通常は血液の血色素量(ヘモグロビン濃度)が低下した状態と考えて良いでしょう。成人では男性13g/dl、女性12g/dl以下がこれに該当しますが、老人では11g/dl以下を貧血と考えれば良いでしょう

血液検査で赤血球やヘモグロビンの値が正常であるにもかかわらず、鉄欠乏性貧血の症状が出ることがあります。
そのような場合、精密検査でフェリチンの値を調べると、極端に低い値を示していることが少なくありません。
フェリチンは、その内部に鉄を蓄えることのできるタンパク質です。
血液中の鉄分が不足してくると、フェリチンに蓄えていた鉄分を放出して血液中の鉄分量を調整します。
ですから、フェリチンが不足しているということは、鉄の貯蔵量が減っていることに他なりません。
精密な血液検査でフェリチンを測った時に一桁の値が出ている場合などは、かろうじて血液中の赤血球やヘモグロビンが正常値を保っているだけで、いつ貧血に転じてもおかしくない状態とも言えるのです。
フェリチン不足は潜在的な鉄欠乏性貧血であると言ってもよいでしょう。
つまり、ギリギリ貧血ではないという状態なのですから、エネルギーや細胞を作り出すために鉄が使われたり、出血により鉄が失われたりすると、貧血の症状が現れることになるのです

 フェリチン(ferritin)は、鉄の貯蔵および血清鉄濃度の維持を行う蛋白です。
フェリチンは、球状のアポフェリチンの中に鉄を貯蔵する分子量約44万の可溶性タンパクで、組織中の鉄濃度により変化するため、鉄欠乏性貧血などの鉄代謝異常の指標とされます。
血清フェリチン濃度は、貯蔵鉄量とよく相関することが知られており、血清フェリチン1ng/mlが、貯蔵鉄8~10mgに相当するため、生体の鉄の状態を把握するのに有用であると考えられています。

鉄が不足する場合「フェリチンの減少 →血清鉄の減少 →ヘモグロビンの減少」の様に、フェリチンから減少していきます。
このため、フェリチンを検査することで、表向きは貧血でなくても、いずれ貧血になる可能性が ある「かくれ鉄欠乏症(潜在性鉄欠乏)」が分かります。

 

正常値は検査機関によって若干異なるものの、男性 20~250ng/mL 、女性 5~120ng/mL とされていますが、 日本人女性には鉄欠乏が多いため、母集団そのものが正常値を代表していないという根本的な問題があります。

フェリチン値<12ng/mlであれば、鉄欠乏性貧血と診断できるという考えもあり、実際に30ng/mlを下回ると、上記の様な多くの症状の発生が見られるようです 

 

結論としてはフェリチンがしっかり上昇するまでは治療継続がおすすめと言う事です

 

自己判断での治療中止は控えて、分からない事が薬剤師に聞いてみましょう